2024年6月1日、徳島県神山町の「雨乞いの滝」へ夫と行った。
車で山中に入り、カーナビの案内に従って進んだら謎の細道に誘導されて迷子になりかけてしまったが、ナビを無視して広い道を進んだところ「↑雨乞いの滝」という標識を見つけ、無事に入口まで到着。
車のドアを開けたら「シャーーーーー」と、水の流れる音で包まれた空間と車内が繋がった。これだけでもうなんだか癒やされていくような気持ちになった。
首にタオルを巻き、ワークマンで買ったトレッキングパンツの尻ポケットに軍手とスマホを入れて出発。
入口のトイレの脇に杖が無料貸出されていたので、1本お借りする。
道はかなり急な坂道で、なかなか険しい。
実はここには10年前にも一度来ているのだが、その時は1メートル進んだだけで「こんな急な坂道、登れない」と引き返してしまっている。
当時よりは体力がついたと思うので、今日こそリベンジしたい。
実際、坂は急だったが10年前に感じたほどきつくは思わなかった。ぐんぐんと坂を上る。
ほどなくして女性の2人連れとすれ違った。山歩きを意識した私たちの服装と比べると、彼女らは普段着そのままとずいぶんと軽装だ。
もしかしてそんなに大した道のりではないのかも知れないなと考える。(そして数分後、これが愚かな憶測だったことを思い知ることになる)
入口から100m上った辺りで、「うぐいす滝」に到着した。
ちょっと低めだけど、自然を目いっぱい感じさせる綺麗な滝だ。
まだまだ余裕の私は機嫌よくスマホでうぐいす滝を撮影。
しばらく休憩したあと、更に上を目指して出発する。
この辺りから、ふくらはぎの痛みが目立つようになってくる。かなり痛い。
大丈夫かな、引き返したほうがいいかなと思っているうちに「不動滝」に到着。うぐいす滝から160mの距離である。
しんどいと思いつつもせっかく来たのだからと、なんとか写真を撮った。
この時点でふくらはぎが非常に痛い。
かろうじて見つけた歩幅1歩分ぐらいの平地でふくらはぎのストレッチをし、疲労の軽減を試みる。(ここまでずっと坂道で、平地らしきところは一切なかった)
引き返そうか迷ったが、山歩き自体は心地よい。ふくらはぎが痛いだけで心肺的にはそこまでしんどくはない。
もうちょっと進んでみることにし、再出発する。
ここで歩き方を変えてみる。歩幅を小さくして力を抜くように柔らかく足を踏み出すようにしたら、ふくらはぎの痛みがかなりマシになった。
ふくらはぎの痛みがマシになったことでやる気を取り戻し、少しずつ上を目指す。
が、ずーっと続く急な坂道はやはりキツく、息は切れるわ汗はダラダラ流れるわで、道は易(優)しくはなかった。
不動滝から進むこと100m、今度は「地獄淵」という標識が現れた。
が、どこが地獄淵なのかよく分からない。何メートルも下に川が流れているが、どれが淵なのか私たち夫婦には判別できなかった。
詳しく調べるにも道は急だし崖は高くて危ない。私たちは分からないまま先に進むことにした。
地獄淵から160m登ったところに「もみじ滝」、もみじ滝から50m登ったところに「観音滝」があったが、急勾配の坂を上るのに精一杯だったため写真を撮る余裕がない。ぜえぜえ言いながらこれらの滝を眺め、休憩しすぎて歩く気力をなくす前に再び坂を上る。
道中、時々見かける「滝まであと◯◯メートル」の標識だけを希望に、汗まみれになりながら雨乞いの滝を目指した。
どの辺にあったか覚えていないが、このような簡易な橋を渡る場面もあった。
乗ったら「ガクン」と音を立てて傾くという、非常にスリリングな橋だった。夫はこの橋がいちばん怖かったと後に話している。
そんな橋を越えたり、水が溜まって滑りそうな階段を上ったりして、どうにかこうにか「雨乞いの滝」に到着。
ついに着いた。10年越しのリベンジ達成だ。やればできるじゃないか。引き返さないで良かった。
たどり着いた達成感を噛み締める。同時に、疲れすぎて頭がクラクラする。
記念に滝のそばにあった看板を撮影したが、疲労困憊だったせいで手ブレしたのに撮り直す気力が出ない。
この時点で私はヘロヘロのヘトヘトである。
夫が悪路を越えて滝壺近くまで行くのを見て「マジかよ」と思ったが、せっかくここまで来たのだから近くで見たいとも思ったので、私も夫に手助けしてもらいながら滝壺手前まで進む。
左に見える直線的な滝が雄滝、右に見える三段に流れる滝が雌滝とのこと。
「見事だなあ、ずっと見ていたいなあ」と思う気持ちと、「疲れたから早く帰りたい」という気持ちが錯綜する。
ほどほどに滝を観賞した後は、近くにあった東屋で休憩。行動食として持参してきたフェットチーネを食べる。とんでもなく美味しかった。体が糖分を欲していたのがよく分かる。
帰り道は思ったより楽だった。滑らないようにと気は使ったが、上りに比べると筋力をそんなに使わない。
ゆっくりゆっくり下山し、それでも行きと同じ30分ぐらいで入口まで戻ることができた。
車内に戻った頃には服が汗でビショビショになってしまったが、滝まで登れたという達成感に包まれ、気分は高揚していた。
「山歩きっていいな、またこういう機会が欲しいな」と、汗を拭きながらしみじみ感じた。
こうして私は「雨乞いの滝」に、10年越しにリベンジすることができた。
翌日、見事に筋肉痛になったが、これは勲章のようなものだと思っている。
10年前に1メートルしか登れなかった山道を目的地まで登りきったという体験は、今後、大きな自信となっていくだろう。
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